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3ヶ月で強くなる!速成トレーニングメニュー【サイクルスポーツ掲載 2001年5月号】

カラダは鍛えれば必ず強くなる。とはいえ、漠然と自転車に乗っていても効果は上がらない。だから……

まずはスクワット50回で自分のレベルを知る!

 目標とするイベントまで3ヶ月。カツ丼や唐揚げなど高カロリーメニューを注文するのにも、ちょっと勇気が必要になってくる。自転車を軽くしても、体が重ければ意味がないのは、説明するまでもないだろう。そして、ヒルクライムを楽しく走るために、もっとも効果があるのがトレーニングってこともサイスポの読者なら知っているはずだ。
 ひと口にトレーニングと言っても、ただ乗っているだけでは効率的じゃない。初心者であれば、乗れば乗るほどに強くなり、ライディングテクニックも向上する。ところがベテランライダーになると、そうもいかない。いずれにしろ、自分のレベルを知り無駄のないトレーニングをすれば、3ヶ月で実力は確実にアップする。自転車しか乗ってないと筋肉の質が変わって最大筋力が低下したり、筋バランスが崩れてしまっている場合もあるので、自分の体力と向き合うことも大切なのだ。
 今回はストレングス&コンディショニングコーチの北見裕史さんに、ヒルクライム用のメニューを作成してもらった。正しいフォームでスクワットが50回できる人はスッテプ4から、できなかった人はスッテプ1からスタートしてみよう。どのスッテプからスタートしてみよう。どのスッテプからスタートしても最低4日間挑戦し、余裕が出てきたらステップアップすること。

スクワット

 下半身の筋力トレーニングでもっとも知名度が高いのがスクワットだ。サイクリングではペダルを踏むための主要筋肉である大腿四頭筋、大殿筋、と下背部の強化になる。また、バランス保持の副産物として大腿二頭筋と上背部、腹筋にも影響を与えることで、ライディング中の上肢の安定に役立つ。
 運動動作:手を頭の後ろで組み胸を張る。足のスタンスは肩幅より広く、つま先を少し外側に開く。次にお尻を後ろに突き出すようにしてしゃがむ。ももの裏側が床に対して水平になったら、ゆっくりヒザを伸ばすように立ち上がり、開始時のポジションに戻る。
 注意点:ヒザがつま先より前に出てしまうとヒザに大きな負担がかかり、効果が半減するどころか、傷害が伴うので気をつけること。体重はつま先ではなく、かかとに乗せて反復すること。

レッグランジ

 頂上までもう少しなのに、足が張って無理が利かない。そんな人に効果を発揮するのがレッグランジである。大腿四頭筋、骨盤近くの上部、大殿筋近くのハムストリングスに効く。ペダリングを意識してやると、より実践的な効果を生み出す。
運動動作:前脚のスネとモモが直角に、後ろ脚のヒザを床に着くように開脚する。さらに両手にダンベルを持って胸を張るのが基本スタイル。かがんだときに後ろ脚のヒザが床に着く直前、伸ばしたときはヒザが伸びきる手前までの範囲で上下に屈曲する。ペダリングを後方から観察したときのように、なめらかな動作でゆっくり行うのがコツだ。
注意点:「2秒くらいかけて、なめらかに!」がポイント。上下で静止したり、テンポが早いと効果が落ちる。ヒルクライムの状況をイメージし、じっくりと正確に行おう。

ダンベルロウ

 どんなに頑張っても足だけで体重以上の力を発揮させるのは不可能だ。しかし、ハンドルを強く引きつければペダリングパワーは飛躍的に向上する。ターゲットは上腕筋、上腕二頭筋、広背筋から下肢の筋へと動員させることで、力強いペダリングを目指す。
運動動作:ベンチにヒザと手のひらを着く。胸を張って上半身がフラつかないようにして、ダンベルを腰の位置まで、肩甲骨の内側なシワを寄せるような気持ちでヒジを引き付ける。戻すときは、ゆっくり重力に逆らわないように腕を伸ばしていき、胸の張が崩れないところまで戻す。
注意点:ダンベルを引き上げるときにわきが開かないように。うまく背中にシワをよせないと、広背筋のトレーニングでなく腕のトレーニングになってしまうので意識を集中させる。

シットアップ

 ヒルクライムのときにペダルの回転数高くなってお尻が浮いたり、膝痛に人は腹直筋が弱っている可能性が高い。シットアップは腹直筋の強化を図ることで上半身の安定と、腰痛を守るためにも重要なエクササイズだ。
運動動作:あお向けに寝て、ヒザを90度まで曲げて手を頭の後ろで組む。アゴを引いてヘソをのぞき込むようにして上体を起こす。ヒジとヒザがぶつかるところと、肩甲骨が床につく範囲で反復する。
 注意点:なるべく上体を丸くすることで腰への負担を減らすことができ、両手を胸に置いたり、おなかの上に置くことで腹直筋にかかる負荷を変えることができる。足の力で起こさないために、足首はフリーでOK。

レッグレイズ

 シットアップが腹直筋のトレーニングに対して、レックレイズは特に腹直筋の下腹部に有効なトレーニングである。じっくりシットアップをした後、早いテンポですることで、自転車の乗車中に近い腹筋の使い方ができる。
運動動作:両手を頭の後ろで組み、アゴを引いてヘソをのぞき込むようにして頭を浮かせる。かかとを床から少し浮かせた状態から、片脚ずつヒザを胸にひきつける。左かかとは床から少し浮かせヒザを伸ばした状態から、片脚ずつヒザを胸に引きつける。左ヒザを引きつけるときには右ヒジ、右ヒザのときには左ヒジが接触するまで屈伸させて反復する。
注意点:苦しくなったり、テンポが早くなると動作が小さくなりがちになるので、1つ1つの動作を大きくすること。左右のバランスが悪いと体が少しずつ回転してしまう。お腹に力が入っていることを意識すること。

片足ペダリング

 同じようにペダルを踏んでいるようでいても、左右均等に踏力を与えるのは難しいもの。片方の脚でペダリングすれば、左右の力の発揮具合と、どのタイミングで、どこの筋肉を使っているのかを確認できる。さらにハンドルを握って全身の筋肉を使うオングッリプとハンドルを握らずに下肢の筋肉を重視するノーグリップを試してみる。
運動動作(オングリップ):片側のビンディングを外してペダリングする。ハンドルをしっかり握り、いつもと同じ感覚であればよい状態だが、違和感があるのであれば、踏み込むタイミングや、かかとの角度などを直す必要がある。回転目安はギヤ比2.0~2.5くらいで90回転/分にする。
注意点:ハンドルをしっかり握って、腕・腹筋・背筋をうまく使って上半身を固定させ、なめらかな回転を作るようにする。
運動動作(ノーグリップ):手はハンドルの上に手のひらを開いた状態で載せておくだけ。上半身が不安定になるが、腰でバランスしながらペダリングする。回転数はオングッリプと同じにする。
注意点:ハンドルを握ったり、押し付けたりせず、上半身がリラックスした状態をつくること。