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<読むトレーニングジム>体力をつけたいならバランスの良いトレーニングを考える必要がある【サイクルスポーツ2002年4月号】

体力をつけたいならバランスの良いトレーニングを考える必要がある

 

自転車と出会い、いろいろなイベント、レースを経験していくと、もっと体力をつけたい、強くなりたい、勝ちたいとなるはずだ。でも、うまくいったり、いかなかったり。様々なことを考えた末、トレーニング方法を工夫していくことになると思う。

私自身も、峠を上る、ダッシュする、ウエイトトレーニングを取り入れるなど工夫をして自転車競技に夢中になっていった。無理をすることもあって、本来楽しいはずの自転車で思わぬ障害を招いたり、落車したり、腰痛になったこともあった。

そんな経験を積むうちに、自分がやっているトレーニングは何に役立つのか根拠が知りたくなった。自転車競技のパフォーマンスの根拠を探るべく、大学院でコーチ学を専攻しバイオメカニクス(スポーツ力学)運動における物理の世界の勉強をした。そして今では自転車に乗る傍ら、トレーニングの指導および研究をしている。

その内容だが、まず選手に接しての指導や研究と、自身の競技経験から、「体力」の要素を客観的に評価する。それをもとに、選手に説明して納得を得たトレーニングを実施する。そのことで効果を高め、専門競技用に「体力」を加工して、その競技で最高の成績を上げさせることを追求している。

不思議なもので筋力を付けるとペダルがうまく回転しなくなることや、乗り込むことで自転車のフィット感は増すが、力強くペダルを踏めないなどの弊害が生ずることがある。そんな弊害が起きないように、力を付けてかつ身体を整えて、競技で身体能力をフルに発揮するトレーニング方法“ストレングス&コンディショニング”の指導を大得意としている。

トレーニングをするうえで、たとえば、「体力」という言葉がある。「体力」を分類すると、筋力、パワー、持久力、平衡性、柔軟性、かぜをひかない抵抗力、時差ボケしない抵抗力、恐怖感に勝つ抵抗力などたくさんある。どれも体力の一要素だ。「パワーがある」「強い」「ねばる」などの表現もよく聞くが、それは体力の一部分に着目した言葉なのだろう。トレーニングで体力をつけるとしたら、すべての要素を考えて、バランス良くおこなうか、長所を伸ばすことを考えるか、短所を減らすかを考えなければならない。

ロード練習に行こう、ダッシュを5本しようといった場合、トレーニングの条件となる要素が4つある。

1、どの程度の重さとスピードでするかの「強度

2、どのくらいの長さで何回繰り返すのかの「時間

3、何日おきに何回実施するのかといった「頻度

4、自転車で走るのか、あるいはジョギングか、ウエイトスタックかにあたる「種目

 以上の4要素が重要になる。ウェイトトレーニングをするときも、ロード練習に行くときも、スイミングや球技を取り入れるときもこの4要素は欠かせない。

ウエイトトレーニングという言葉の響きから、オフシーズンにだけ行うものと思っている人も多い。だが、ピリオダイゼーション(期分け)といって、ハイパートロフィー(筋肥大させる)の時期、マキシマムストレングス(最大筋力向上)の時期、パワー(一瞬に出す爆発的力の向上)の時期、エンデュアランス(持久的力の向上)の時期などと細かく期分けして行う方法が一般的。

筋肉を太くするためのウエイトトレーニングだけでなく、スピードや筋肉の反応を良くするためにも取り入れられ、1年中、何らかの形で実践されるようになった。もちろん方法を間違えれば、パフォーマンスは落ちてしまう。

この連載では、このような、教科書的な内容から、ストレッチはなぜ必要か、筋肉痛はどうして起きるのかなどの素朴な疑問にもお答えしていきたい。安全で、効果的で、楽しく実践するために、トレーニングを「なんで」「どうして」の視点からもう一度確認していこうと思う。確認できたら、自転車に生かして実践につなげてほしい。あなたのトレーニングに、このスパイスをかけていい味になるよう活用してもらいたい。