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<読むトレーニングジム>パフォーマンスを伸ばすための体力要素を知ってトレーニングを実践してみる【サイクルスポーツ2002年5月号】

 

パフォーマンスを伸ばすための体力要素を知ってトレーニングを実践してみる

 

レースやトレーニングで、あいつはパワーがある、チカラがあるなどと誉め言葉を耳にする。この感じたままの言葉からどの様な選手が目に浮かぶであろうか?

体のごつい選手。反射神経の良さそうな選手。あるいは病気になりそうにない選手?もちろん、これらは「体力」があるといわれる要素だが、体力というものを広範囲で考えると、人間が活動するために、そして生きていくために必要な能力すべてを意味する。

そこで「体力ってなんだろう」について考えてみよう

スポーツをしたり、運動をしたり、身体を動かして何かをしようとする。その時に使う体力を行動体力という。また、気候の変化やストレスから体を守り、適応力や抵抗力をつけようとする能力を防衛体力という。この2つの体力を兼ね備えた体こそ、レースで成績が伸びたり、常に健康維持できる体力があると表現されるのである。

行動体力3要素

行動体力はさらに3つに分けられる。①筋力・パワーに代表される行動を起こす体力。②筋持久力・全身持久力など行動を持続する体力。③平衡性、巧緻性、敏捷性、柔軟性における行動を調整する体力。はたして自分の行動体力はこの3バランスがとれているか、またどの部分を鍛えれば強くなるのかをじっくり考えてみよう。

防衛体力4要素

防衛体力も、さらに4つの抵抗力に分けられる。①真夏の猛暑に打ち勝つ、物理化学的ストレスへの抵抗力。②カゼに打ち勝つ、生物的ストレスへの抵抗力。③頭痛・腹痛に打ち勝つ、生理的ストレスへの抵抗力。④スタート前の緊張感を克服する、精神的ストレスへの抵抗力。たとえば病気から身体を守ったり、環境の変化に早く適応させるなどの防衛体力を身につけておかなければ、筋力やパワーを発揮するチャンスを逸してしまう。防衛体力もレースで勝つためには必要な体力なのである。

体力要素の簡単な確認法

筋力に対する実践例は、ベンチプレスで体重の70%の重さが10回持ち上がり、スクワットで体重の重さが10回持ち上がること。このときのベンチプレスの注意点は、シャフトが胸に当たることと反動を使わないこと、リズミカルに反復すること。スクワットの注意点は、ももの裏側が床と平行になる高さまで腰を下ろすフルスクワットで行うこと。対策は10回持ち上がる重さを選び週2~3回実施する。余裕ができたら重さを5kgずつ増やしていく。

持久力に対する実践例は、最大心拍数の60%の強度で30分以上自転車がこげること。最大心拍数は、できればハートレートモニターを装着しトレーニングした時の最高の心拍数とする。または<(220−年齢−安静心拍数)×0.6+安静心拍数>を使うこと。対策は60分以上のロードから戻ってきた直後の心拍数を測り、その心拍数が最大心拍数の60%になるよう徐々にスピードを上げて調整すること。

柔軟性に対する実践例は、立位体前屈で5本の指先が床につくこと。このときの注意点は、息を吐きながらゆっくり上体を折り曲げていくこと、膝が曲がらないようにすることと、始める前に腰のストレッチをしておくことが必要だ。対策は毎朝晩のストレッチと習慣づけが大切だ。

平衡性に対する実践例は、目をつぶって片足で60秒立っていられること。軸足が移動したり、両手が暴れたり、目を開いたらその時点で終了とする。左右1回ずつ挑戦すること。10秒続かない人の対策は、十分な睡眠と慢性疲労の解消だ。飲みすぎも注意。

生理的ストレスに対する実践例は、毎日途中で起きずに6〜8時間の熟睡ができること。対策は疲労回復のためのケアやストレッチ。就寝前の水分補給も大切だ。

生物的ストレスに対する実践例は、1年間で2回以上のカゼをひかないこと。この対策は生活習慣が大きく左右するので、こまめに身体を点検し早期に食事、睡眠、体温調節に気を配る。目標大会後などのリカバリー時には要注意だ。

思い当たるテストをしてみて、自分の弱い部分を鍛えよう、次に長所をさらに伸ばそう。体力要素を確認してパフォーマンスが伸びるようにトレーニングを実践してみる。そしてレースで試してみよう。その繰り返しが大切である。まだシーズンも始まったばかり。うまくコンディションを作り最高のパフォーマンスを発揮しよう。