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<読むトレーニングジム>時期により必要なトレーニングを考える “ピリオダイゼーション”を取り入れる【サイクルスポーツ2002年7月号】

「どんなトレーニングしてる?」という問いかけに対して、「毎週峠を上っている。決まったところにみんなで行って帰ってくるだけ」と答える人が多い。このトレーニングで優勝する選手もいる。

 少し前までは、ほかのスポーツでも、例えば野球では「1球でも多く投げろ、毎日走れ、1分でも1秒でも長くボールに触れていろ」というトレーニングを耳にした。

 また、「1日休むと、その遅れを取り戻すために3日かかる。1週間休むとそのシーズンは棒に振ってしまう」という話も聞いたことがあるだろう。それも間違いではないと思う。

 ところが、最近のトレーニングは「トレーニングの目的意識を持て」「トレーニング、休息、栄養のバランスを考えよ」「ねらっているレースまでの長期的計画を立てよ!」と、その内容が変化してきた。

 「ほかの選手より長くキツいトレーニングをして勝つ」から「効果効率を考えて計画的に勝つ」に変わってきたからだ。

 ライディングテクニックを考えると、長く自転車に乗ることで修得するテクニックが、大切なトレーニングであることは現在も同じ。

 しかしそのテクニックの向上は、基礎体力の上に成り立つものである。自転車の乗りすぎにより慢性疲労を招いたり、最大筋力が低下するようであれば、パフォーマンスの低下につながってしまうのだ。

 また、どんなにキツいトレーニングをしたとしても、数ヶ月で体が適応して慣れてしまう。専門競技の練習だけでは、体力バランスが崩れてしまうのだ。ウエイトトレーニングやエクササイズを取り入れたクロストレーニングが必要となる。

 そこで、今は何のトレーニングをする時期なのかを分けて考える必要が出てくる。

 そのためにピリオダイゼーションの考え方を取り入れたトレーニングをしてみよう。

 そもそもピリオダイゼーションとは、古くは‘64年の東京オリンピックで、やり投げの金メダリストがトレーニングに採用し発表された。

 その後、‘84年にアメリカの運動科学者ストーンとオブライアンが、4つの期分けをして体系化したものが現在に至っている。その4つとは“ハイパートロフィー(筋肥大)”、“ベーシックストレングス(筋力アップ)”、“ストレングス&パワー(パワー)”、“ピーキング&メンテナンス(調整)”である。

 具体策は、ねらっているレースまで何週間あるのかによる。期間が2ヶ月以上あるのであれば、3~6週間でピリオダイゼーションをやってみよう。実践のレース結果から次の計画を立てる。参考になるレースがなければ、パフォーマンステスト(囲み記事参照)を取り入れる。

 目標の6週間前までは基礎体力のトレーニングをする。筋肥大、最大筋力アップ、パワーをメーントレーニングにする。

 次に6~8週間前までは、自転車を生かしたスピードトレーニング、エンデュランストレーニングをメーンにする。

 3~1週間前までは直接関係のあるテクニックや、本番に似た「上り坂」や「ゴールスプリント」をイメージして限界まで追い込む。

 直前の1週間は、「イメージ」をそのままに、トレーニングの量だけを減らしていく。

 はやる気持ちを抑えて、そのストレスをレースにぶつけよう。

 自転車は最大筋力だけを伸ばすとスピードがなくなる。パワーだけトレーニングすると回転力が落ちる。回転力だけをつけると最大筋力が落ちていく。数あるスポーツのなかで、もっともトレーニングが難しい競技だ。だからこそピリオダイゼーションをしっかり計画して、ねらったレースに合わせよう。

 今は無理してもトレーニングをする時期なのか、トレーニングしたくても休むべきか。メリハリをつけ目的を持ってトレーニングをしよう。

 

●パフォーマンステスト

 パフォーマンステストは、目的に合ったトレーニングができているか効果を確認するテストだ。目的に応じて設定しておこう。

・    15分かかる上り坂を決めてタイムを計る(持久力)

・    1000mくらいの平坦路でタイムを計る(スピード、筋持久力)

・    止まった状態から200mダッシュしてタイムを計る(パワー)

ローラー台で最高速度を計る(パワー、トップスピード)