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<読むトレーニングジム>緊張した筋肉はストレッチでほぐしトレーニングに最適な状態を維持しよう【サイクルスポーツ2002年9月号】

ストレッチはなんのため?

 ロード、ジョギング、スプリント、ウエイトトレーニング。何をするときでも筋肉は緊張する。その筋肉をほぐすためにストレッチをする。そのストレッチについて考えてみよう。

 力を出すときには筋肉が収縮する。その筋肉の収縮は、筋繊維という筋肉の繊維状の束があり太い繊維(ミオシンフィラメント)と細い繊維(アクチンフィラメント)が互いに滑り込んで筋繊維全体が収縮する。

 たとえば、ダンベルアームカールをしたとき、上腕二頭筋が収縮して力こぶができる。この力こぶは筋繊維が収縮した状態で太くなるが、力を抜けば、元にもどる。

 しかし、いつもの何倍の強度や回数をトレーニングすれば、筋が熱くなってパンプアップ(筋がパンパンにはった)状態になる。力を抜いても完全には戻らない。その後、時間をかけて回復していくが、筋繊維が互いにこすれながら元に戻ろうとするために痛みを伴う。それが筋肉痛が起こる仕組みだ。

 この、痛みを伴いながら戻っていくことを少しでもやわらげる、または起こさないようにするためには、トレーニングの前後に使って縮んだ筋肉を素早く戻し、いつでも使えるようにしておく必要がある。それがストレッチだ。

 一定の負荷を「爆発的に」早く動かすためには、筋肉をゆるんだ状態から一気に縮めなければならない。すなわち、常にストレッチされて柔らかい筋肉を作っておかなければパワーは出なくなってしまう。体が固くて可動域が狭くなっているなら、トレーニングより先にストレッチ行うことを考えるべきだ。

 

ストレッチをするために知っておくこと

 筋肉の起始、停止がどこなのかを知り、ロードやウエイトトレーニングをしたときにどの筋肉を稼動させるのかを理解しておく。そして、その筋肉が伸びるようにストレッチをする。

 どのストレッチも息をはきながらゆっくり30秒くらいかけて筋肉を伸ばしていく。張りが強く伸びにくい時は1~2分かけて伸ばしておこう。

 ストレッチしているときに縮んだ筋肉が伸ばされていくのを感じながらストレッチしてみよう。軽く体を動かした後や、風呂上りは筋肉が伸びやすくなっているのでじっくりストレッチできる。その反対に寝起きやこれから体を動かすときには無理に伸ばさない方がよい。筋が熱を持っていたり炎症を起こしているときはストレッチの前にアイシングをする。

ロードトレーニングでは具体的に何をするか

 トレーニング前は、スタンディングで主要筋肉をストレッチしておく。ストレッチさせるとともに筋肉が痛んでないか?走る準備ができているか?の確認も兼ねて行う。走行中に、疲労の蓄積しやすい腿の表裏、ふくらはぎ、腰を信号で停止したときや下り坂時にマメに伸ばそう。

 トレーニング終了後は、シッティングでじっくり全身のストレッチを行う。このとき特に入念にストレッチしたい筋肉は①②③の部分だ。ロードトレーニング中の腰背部、脚部の筋肉は、筋が伸びようとして伸びきれず、縮もうとして縮みきれないストレスのかかった状態で数時間稼動し続けているために疲労を蓄積しやすい。

 そのためにもストレッチは不可欠だ。

 

ストレッチの種類

 今回の話のストレッチはスタティックストレッチだったが、ほかにもある。ラジオ体操のように反動を使うバリスティックストレッチ、ペアで本人に力を入れさせたあとリラックスしたときに補助を入れながら伸ばすPNFストレッチ、スポーツやトレーニングで実際に使う動きに則した神経系統のアップも考慮したダイナミックストレッチなどがある。

 競技特性やそのトレーニングに適応したストレッチ方法を取り入れてトレーニング効果を高めてケガのないように頑張っていこう。