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<読むトレーニングジム>自転車におけるスピードと回転の違い 最適の強度と回転数を見つけよう【サイクルスポーツ2002年10月号】

 自転車をこいで速く進むためには、ペダルを速く回すか、ギヤを重くするか

の方法をとる。運動を仕事量で考えると、どの重さのものを、どれだけ移動させたかという「重さ×距離」で決まる。ギヤ比を半分にして2倍回転させるのも同じだ。

 自転車でのトレーニングで自分の体力、特性を生かしたギヤ比を探しパフォーマンスを高めよう。

 

ギヤ比を増減してみる

 いつものコースのなかで15分以上、上り続ける坂道を使ってタイムアタックしてみよう。

 まず、いつものギヤでタイムを計測し、基準にする。次に体調を整えた後、2枚重いギヤでペダルを踏み込むことを意識してタイムを計測。今度は反対に2枚軽いギヤを使って回転を意識し、リズミカルに上ってタイムを計測する。

 いつもの坂道が違うコースに思えるほど感覚が変わるはずだ。ギヤ比を増減させたことで速くなった場合はそのギヤ比で週1,2回トレーニングしてみよう。自分の長所を生かした上り坂のヒントが見つけられる。

 目標回転数を1分あたり75回転以上にしてトレーニングすると、レースにも対応しやすくなる。

 

サドルの前後位置を変えてトレーニングする

 次にサドルの位置を変えてみよう。まず、平坦路で30分以上乗れるコースで、いつものペダル回転で走ってみる。次にサドルを1cm前方にスライドさせて、同じ条件でこいでみる。その次にサドルを1cm後方にスライドさせて、同じようにこいでみる。

 ポジションによって多少異なるが、前方にスライドすると踏み込みにくくなるが、回転力が上がる。逆に、後方にスライドさせると踏み込みやすくなるが、回転力が落ちる感覚がすると思う。

 どのポジションにすると、力が加わりやすく回転力を高めることができるかを探ってみよう。そして週に1回、平坦路で10分間ダッシュをしてテストする。そのときの回転数は1分間に120回をキープ。

 効率良く回転できるギヤ比とポジションを両方見つけることで、筋力、筋持久力、パワーを最大限発揮するポジションを作り出すことができる。

 ハンドルの位置、サドルの高さ、ペダルのクリートの位置も回転には大いに関係するが、今回は、サドルの前後位置のみで考えてみることにした。

 

ウエイトトレーニングは重さと回転できつさをテスト

 フリーウエイトでベンチプレスとスクワットに挑戦してみよう。1RM(1回で上げることのできる最大の重さ)の3分の2の重さで10回、また3分の1の重さで30回持ち上がるだろうか?

 もし無理ならば、持ち上げることのできる重さから始めよう。

 測定するときは、フォームとリズムが重要。ベンチプレスは反動をつけずに胸に当たるまでしっかり下ろす。スクワットは腿の裏側が地面に水平になるまで深く下ろす。フォームが正しいか不安なときはトレーナーに見てもらおう。

 各トレーニングを比較して、3分の2の重さで10回上げるより3分の1の重さで30回上げるほうがきつければ、現在のトレーニングより低強度高回数にして、筋持久力重視のトレーニングにする。

 3分の1の重さで30回上げることが楽にできれば、持続時間を延ばすために、重さはそのままで、回数を増やしていく。

 ウエイトトレーニングにおいても10回以上反復することに慣れて筋持久力を高めておくことが、自転車でのパフォーマンスに大きく影響する。

 ウエイトトレーニングを導入すると、どうしても重いギヤを踏もうとしてしまうが、自転車はスムーズな回転力で、効率良く走ることのほうが大切。

 止まっている自転車のバランスをとることは難しいが、スピードが上がるにつれて安定する。自転車の特性を生かした回転力を見つけ、自転車が自分の体の一部になるように工夫してみよう。