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<読むトレーニングジム>スプリンターとロード選手、競技特性によって体は違っている【サイクルスポーツ2002年12月号】

短距離選手と長距離選手は何が違う?どうすればなれる?

ひとくちに自転車競技といっても、トラックレース、ロードレース、MTB、サイクルサッカー、サイクルフィギアなど多種多様だ。

それぞれ競技特性が異なるので同じ自転車競技とはいえトレーニングの方法はさまざまで、選手の体型、性格などによって変わる。

今回は、短距離選手と長距離選手の特徴の違いから、どのようなトレーニングが有効かを考えてみよう。

自転車にしても陸上競技にしても、スプリントや100mなどの短距離選手は筋肉質で太くがっちりしている人が多い。一方でロードやマラソンなど長距離選手は、細身できゃしゃに見える人が多い。

これらの体型によしあしはない。ただ、力の出し方の違いが体型の違いに現れているにすぎない。

人間の筋は1㎠あたり6.3㎏の力を発揮することがわかっている。そして、トレーニング理論では「最大筋力は、筋の断面積に比例する」といわれている。その最大筋力の70%の力では10回持ち上げることができ、60%の力では60回持ち上げることができるといわれている。

この筋力で、最も重いものを10回持ち上げよう、1回で持ち上がる最大の力を伸ばしていこう、と強度にこだわり突き詰めて考えるのが短距離選手である。また、60回でとどまらず100回でも200回でも上がるようにしよう、長時間カラダを動かし持久力を高めていくことを考えるのが、長距離選手である。

しかし、自転車競技の短距離は、走り幅跳びや砲丸投げのように1回の動作や数秒で終わるほどの短時間での競技ではないために最大筋力、およびパワー(力×速度)を持続させる能力も併せて必要とされる。長距離競技の代表であるマラソンは、平坦路のコースを2時間ちょっとで走るのに対して、ロードレースは途中に峠が何回もあったり、ステージレースのように数日間連続で走った総合タイムで争う競技である。いわば持久力の限界に挑戦しなければならない。

それではどのようにトレーニングすればよいのだろう。

自転車に乗っていて、どんなにキツイ上り坂でも、自転車に重りをつけて引っ張っても、ペダル10こぎでオールアウトになる負荷を作ることはできない。そのために短距離のトレーニング方法ではウエートトレーニングを取り入れる必要がある。

短距離のなかでも、スプリント、ケイリン、チームスプリントであれば、最大筋力、およびパワーをつけた後、10~20秒連続する反復要素含むトレーニングをしなければならない。パーシュート、ポイントレースであれば10分持続できるトレーニングが必要だろう。

どんなに低重量でウエートトレーニングをしたとしても50回、100回以上の反復を実践することは難しい。そのため、長距離のトレーニング方法は自転車でのトレーニングが主になる。

ロードレースであれば、インナー・ローでギヤの負荷を最小限にして5~7時間動き続ける持久力を作った後、峠に上ったり、アウターギヤをかけた、負荷のかかったトレーニングを取り入れていく必要がある。

いずれにしても、自転車競技は複数の混じっているために1つのトレーニングでは効果を出しにくい。

常にトレーニング種目と時期を考えて取り組んでいかなければならない。

自転車競技のトレーニングメニューの作成はとても難しいが、各人の多種多様な個性を生かして、最大の能力を発揮させることもできる。

それこそが自転車競技の魅力ではないだろうか。