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<読むトレーニングジム>オフシーズンには自転車から離れ陸上トレーニングで体力アップを【サイクルスポーツ2003年2月号】

この時期、自転車に乗ると手足がかじかんでトレーニングにならない!寒い地方、または寒がり選手は、思いきって自転車から離れて陸上トレーニングを取り入れてみてはどうだろうか?

陸上トレーニングは自転車ほどスピード感はないが、その分、風切ることによる寒さをしのぐことができる。そのうえ、自転車より機敏な動きをすることや、全身の筋動員量が多いことから、基礎体力の向上には効果的。シーズンインまでにはまだ時間があるので、試してみよう。

トラック選手なら陸上トラックを使ってトレーニングしよう。

いつもバンクを走っている選手なら、陸上の400mトラックがとても広く感じ、ランで1周すると、とても長く感じることに驚くだろう。そう感じるのは、自転車は慣性力がついて転がっていて、ペダルひとこぎで1歩の2倍以上進んでしまうからだ。このことを頭に入れつつ陸上トレーニングを開始しよう。

最初にウォームアップのために10m周。自転車でのトレーニングの場合は難なく30周はするところ。ランのそのキツさに驚くだろう。

10分くらい休憩を取って、400m2本と100m2本ダッシュをする。どちらもスタートから思い切っていくのが理想。しかし、その勢いで走ると自転車のようにはいかず、最後の直線でまったくスピード維持ができないことに気がつく。そしてヘトヘトでゴールする。しかし、継続すればタイムは縮まっていく。

まず、400mを2本。目標タイムは1分10秒。クリアしたら1分を切ることを目指す。10~15分後に100mダッシュ。

これも自転車が得意な選手は、腕と脚が合わないだろう。それもそのはず、自転車は足が高回転で回るのに対して上半身はアイソメトリック<*1>で固定した状態でバランスをとる。陸上では、けり出すことで回転しようとする腰の動きを反対側の手を振ることで干渉させ、バランスをとっている。

また、クランクの長さに合わせて回転させる脚の動きも、陸上ではストライドを伸ばして地面をけり上げる。腕を大きく振って足を大きく前に振り出さなければ速く進めない。

100mの目標タイムは13秒以内。12秒を切ってきたら陸上トレーニングの成果は絶大だ。ロード、MTBの選手なら登山道をランニングするトレーニングをしよう。

いつも走りなれた町の道からひとつ山道に入り、登山道を使ってランニングをする。現地まではいつものように自転車でもいいし、たまには電車に乗っていくのもいいだろう。自転車用シューズをスニーカーに履き替えて、ロードシャツにはボトルと補給食を入れて、できれば心拍計を付けて、さあ出発。

地面を踏み込んで進む感じは自転車とはまた違ったものがある。いつもならスイスイ行けそうなスピードまで思った以上に進まないし、息も上がる。それは、ランニングの筋動員量は自転車のときより10%多くなっているからだ。

ロード練習で150拍/分をキープしている選手なら165拍でペースを作ろう。山頂にたどり着いたときは、自転車トレーニングとは違ったそう快感が味わえる。オフシーズンの間にいくつの山をランニングで征服できるか挑戦してみてはどうだろうか。

自転車に慣れている選手が、自転車で思い切り追い込んだトレーニングをしても、体がその動きに順応しているので、高い心拍数が出ない、しかし、トラックのランや登山道でのランニングは、かなり高い心拍数まで上げることができる。

寒い時期であること、自転車ほど慣れていないことなどを考え、必ず入念にウォームアップを行なう。急に強度を上げないようにする。自転車でのトレーニングよりも心臓血管系に強い負担がかかるので、血圧の高い人、コレステロールの多い人は気をつける。以上の点に注意して実践しよう。

フットサル、バスケット、思い切ってマラソン大会など多種目のスポーツに参加し、オフの目標を作ってモチベーションを高めるのも手である。

私自身も自転車の短距離が専門であったが、オフシーズンの目標にフルマラソン完走を掲げてトレーニングした経験がある。

オフシーズンの間に、体カアップ方法をいろいろ試してみよう。

 

*1 筋肉の長さを変えずに筋力を発揮させる等尺性筋収縮運動。自転車では背筋や腕の筋肉はほとんど筋肉を収縮させない固定した状態で力を発揮させるため、アイソメトリック運動しているといえる